女子中学生で東映アニメーションなTVアニメ動画ランキング 1

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63.1 1 女子中学生で東映アニメーションなアニメランキング1位
ふたりはプリキュア Splash Star(TVアニメ動画)

2006年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (79)
434人が棚に入れました
海原市立夕凪(ゆうなぎ)中学校に通うふたりの女子中学生、日向咲と美翔舞。ふたりは、「泉の郷」からやってきた花の精・フラッピと鳥の精・チョッピの力により「伝説の戦士プリキュア」に変身し、滅びの力で世界を支配しようとするアクダイカーンやその手下と戦う。

声優・キャラクター
樹元オリエ、榎本温子、山口勝平、松来未祐
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「命」というテーマを描ききった名作(少し修正)

2006年2月から2007年1月放送のTVアニメ。
「ふたりはプリキュア」から、キャラクターも舞台も刷新。
前作は、正反対の二人の女の子の絆の強さが印象的で、なぎさとほのかの関係性が一番のポイントだったと思っています。
対して本作は最初から仲がよく、二人が他の「命」と繋がって行く感じですね。

私はMAXHertからリアルタイムで見ていて、最初は若干の違和感はありました。(すぐにそれもなくなり、今ではすごく気に入っているんですけど)
本作で主人公の入れ替えと言う思い切った選択をしたことが、その後のプリキュアシリーズ化に多大な貢献をしたとも思います。


一貫した「命」というテーマ、地味ながら印象の良いキャラクター達、世界観をあらわす美しい背景、敵幹部の面白さなどが見所。
それらの要素と設定が全てテーマにリンクしているのがとても良いです。

バトルは前作までのアグレッシブな肉弾戦は控えめになり、精霊の力を借りた魔法のような技のぶつかり合いが増えました。
そして「自分たちの大切な日常を守る」という初期コンセプトに沿って、精霊の力をバリアとして用いる、纏った光の粒が衝撃をやわらげるなどはっきりと「守り」を視覚化しています。

全体のまとまりはしっかりしていますが、人によってはダレを感じる部分はあるかもしれません。
ですが単発のエピソードや日常回も、舞台や登場人物を掘り下げる地味ながら良い話が多いです。


【ストーリー】
海原市立夕凪中学校に通う日向咲は、大空の樹で美翔舞と出会い、「泉の郷」からやってきた花の精・フラッピと鳥の精・チョッピに請われ、二人でプリキュアに変身。滅びの力を振るうダークフォールから泉の郷(精霊の世界)を取り戻し、緑の郷(人間の世界)を守るために戦うことに。


【キャラクター】
{netabare}
地味ですが逆に言うと地に足が着いた印象が強く、大人は落ち着いており、子ども達は純粋に可愛いです。

咲は活発なムードメーカーで妹を可愛がるお姉ちゃん、舞は穏やかですが勘が鋭く意思も強く、二人とも良い子でとても感情移入できます。
日常描写が本当に丁寧で、家族の登場場面、地元の人たちとの交流やクラスメートのエピソードがかなり多く、自分たちの住む町が好き、そこに暮らす人たちが好き、というキャラクターに厚みを出していると思います。

泉の郷からやってくる精霊達も見所ですね。
咲と舞のパートナーであるフラッピとチョッピ、中盤から登場する幼い精霊ムープ、フープは可愛らしくくるくると良く動き回り、そこは女児向けらしいですが、4匹ともプリキュアを助けるために危険に飛び込むような行動もし、心の強さも持っています。ムープとフープは満・薫とも縁があり、人間関係(?)でも役割を持っていたのも良かったです。

泉の郷のフィーリア皇女は最初は力を失っており、プリキュアが奪われた6つの泉を取り戻すにつれ回復して行きます。
戦う力はありませんが咲と舞をできる限り助け、プリキュアへの感謝の心や精霊たちをねぎらう優しさを常に持っている、人の上に立つ者の鑑みたいなキャラクター(一時期、訳あって咲の家の猫・コロネの中にいたりしますがw)。
最高位の精霊なのだろうとは始めから思ってましたが、ラストで明かされる世界樹の精霊というのも設定として良く嵌っており、デザインもシンプルながら上品で美しく、とても好きなキャラクターです。

強烈な個性を持つのはむしろ敵側で、きわどくインパクトのあるキャラクターデザインと声優さんのアドリブもあいまって、アクダイカーン様以外の全員がかなり濃く面白いキャラにw
特にゴーヤーンはもっとも酷薄で、序盤はアクダイカーンの腰巾着のようですが、後半の活躍もあって凄く良いキャラクターになっています。
真の姿のデザインはちょっと世界観違いますけど、器のでかさが恐ろしいというかカッコいいw森川さんの演技、すごく良いです。
{/netabare}


【テーマについて】
{netabare}
本作はテーマが一貫して「命」であり、咲は「全てのものに命は宿る」と両親に教えられていて、この言葉が作中でも度々出てきます。
対してダークフォールは「滅びの力」を使っていて、「殺す」のではなく存在そのものを「消す」ことが目的でした。

「生と死が循環するのが命の正しい在り方」というのが本作の肝。
子ども向けアニメで人や生き物が死ぬシーンを入れずにそれを表現するのは簡単ではありません。

ですが本作では、襲ってくるダークフォールの幹部は自然物の命を歪めた存在で、プリキュアに倒されることで正常な命の循環に還るのです。
満と薫はもともと滅びの力から生まれた存在ですから精霊たちにとってはある意味では異物でした。ですが命の営みは単純な繰り返しではなく、時に異物を受け入れても大きな流れは変わらない複雑な「循環」です。だからこの世界には満と薫が受け入れられる場所があったのだと思っています。

序盤から「絶対に奪われてはならない」と言われていた7つ目の泉“太陽の泉”が実は母なる海であるというのも、初見では驚きましたがテーマにしっかり嵌っています。舞台が海に面した街であったことも良かったと思います。

人との繋がりを大切にする、命を大切にする、自然を美しいと思う、そういう小さな演出が最後までぶれなかったのが本作の凄いところ。その積み重ねがテーマに説得力を生んでいました。
{/netabare}


【満と薫について】
{netabare}
満と薫はダークフォールの幹部として咲と舞を倒すために近づきます。(いわゆる偽友作戦てやつですね)
最初は二人は考えている事はあまり変わらないのですが(容姿は全然違うんですが)、緑の郷での経験が増えるにつれ、二人の言動に少しづつ個性のようなものが見えてくるのも面白いです。
緑の郷を美しいと感じるようになり、咲や舞と友達になった満と薫は、アクダイカーンを父親と慕いながらも命令と自分たちの願いとの板挟みに悩みます。中盤の山場で、自分たちの本心をアクダイカーンにぶつけるシーンは必見。

そして二人を後押しし、助けようとする咲と舞。
命の大切さと世界の美しさを生まれたときから知っている咲・舞と、緑の郷に来て初めてそれを知った満・薫の対比が上手です。
終盤の満と薫のエピソードも重くなりがちでしたが、それを一緒に背負う咲と舞が負担を軽くしてくれました。

ラスボス交代は驚きましたが、満・薫に親殺しをさせたくなかったという理由もあったのではないかと思います。
この辺りは子ども向けとしての配慮でもあるかな。
{/netabare}


【本作の最大の特徴】
{netabare}
私が本作に特に感じるのは「重さ」です。

序盤では咲と舞は敵に「どうしてこんなひどいことをするの?」というような問い掛けを度々しています。話し合いが出来ないか模索するような描写です。
しかしダークフォールが求めるのは無の世界なので、自分たちの大切なものを守るには戦う以外の選択肢はありませんでした。

悪を倒すとかそういう話ではないのは他のプリキュアもそうなんですけど、ここまで和解の可能性が無いのはSSくらいじゃないかと思うのですよね。
歴代プリキュアの中である意味もっともシビアで過酷な設定ではないかと思いますし、行き着くところまで行ってしまった感じもあります。バトルが抑え目にも関わらず本作をかなり「重く」感じる理由はそこなのでしょう。
そしてそれを女児向けらしい明るさと優しいキャラクターで緩和しているのが素晴らしいところ。

プリキュアシリーズは作品が進むにつれ、敵との和解による戦いの終息へと女児向けとしては妥当な路線変更が行われました。
私はどちらも好きですし、今も楽しめています。
{/netabare}

派手さはそこまでありませんが、子ども向けとしての細やかな気遣いが感じられ、明るい雰囲気で深いテーマを描いた素晴らしい作品です。
いろんな年代の人にゆっくり一話ずつ楽しんで欲しいです。(2015.11)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 16

hikonoir さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

オノマトペだよ

オープニングのテーマ曲、16分音符連打でノリがよく、いきなり曲の主題を頭にもってくる。それが終わると、軽やかにピチカート。ピチカート好きの自分はもうこれでノックアウト。初代のオープニング曲は、シンコぺがガッツリ効いてカッコよかったが、このスプラシュもなかなかのものだ。

「SPLASH」という映画をご存じか?観た事はないが、上映していたのは知っている。人魚の話だと思う、ってのは、ポスターに女の子の人魚が映っていたから…。で、人魚がたてる水音、ジャポーン、ピシャ、バシャ…を、英語ではSPLASHと表現する。そう、オノマトペ、擬声・擬態語です。

「花鳥風月」という言葉をご存じか?たしか能の創始者か伝承者かが、造りだした造語だったような…。(自分で検索してください)

「きひつかみ」をご存知か?木・火・土・金・水の頭の発音である。西洋の四大元素とは異なり、中国日本の陰陽五行説にもとずく。

おおまかに、このような三つのキーワードがこのアニメに登場します。詳しく書くと大変な長文となるので止めときます。これらの意味するものがイメージとなり意識下に、アニメを観るたびにチョクチョク刺激されるわけです。ですから、最後の地球規模になっても驚きはあるものの、やっぱりこなったかぁ…。というように感慨深くなるんですね。こういう色分けはアニメではよく使われてますが、無理くり当て嵌めたり明確化しないで、なんとなくすんなり、子供向けなのでもっともらしい説明もなくて十分良いと思う。

そして、やはりカオルとミチル。ストレートな話の展開に好感もてます。ちょっと泣けてしまうよ…。友情と団結に犠牲、東映動画をずっと観てきた自分はどうもこれにヨワイ。すっかり毒され…あ、いやその影響されたという事で…はい…大好きなんです。

それにしても舞が可愛いなぁ。最初はあんまり気持よくなかったのに、観てるうちにだんだん可愛くなってきて、舞の返事の「うん」が気に入ってしまいました。ホント他のシリーズ登場人物と比べてもかなり好感度高いな。自分でもこういう話、つくりたいと思う今日この頃なのでした。

追記。 モンタージュ理論について、初回シリーズの絶交シーンを例にコメントしたが、絶好の模範例がこのシリーズにもでてくる。24話、ミチルとカオルが居なくなって寂しくて、彼女達をを救えなかった自責の念と後悔になやむサキと舞。

舞が一人でうつむいて居間で腰かけてる。うつむいてるので表情が解らない。マイの事情など解らず兄が普通に話しかけてくる。すると、台所のシンクに溜まった水の上に、水道の蛇口から水滴が一滴ピチョン。「水道のハンドルをきちんと締めてないから、蛇口から水が一滴ずつ落ちるんだよ!」。そう思った人、結構いるでしょ。その後、舞の顔がクローズアップして、泣きそうな顔…。でも泣かない。打ち明けられない。また、水道の蛇口からピチョン。ここでさすがに気付くでしょ。

「何だ?また水滴が…。あれって寝たあととか気になるよな…。しつこいな、このカット」。などと思って何も気づくことなく見過ごしてるアナタ!これがモンタージュ理論なの。一見、ストーリーに関係ない映像を差し挿む。でも、そうじゃない。隠された象徴がそこにある。不思議なものでこういう見せ方のほうが印象に残るし、舞の悲しみが視聴者の心に深ーく入り込む。舞の泣けないもどかしさや苦しみを単純に台詞で話してしまうより効果的だ。あの水滴が舞の涙だと解った時、ちょっとした謎を解いたような気になるし、舞の心の内も垣間見える。いいですか?イメージ映像を演出家の狙い通りに解釈してやらないと、演出家の想像力と努力が無駄になってしまいます。

なんだかんだで、このシリーズが結構安心してみれて、落ち着くのはBGMの素晴らしさも一役かってると思う。メロディーがいいよ、ほんと。見直してるうちにちょと気付いたんで追記しました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

ヌンサ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

続編も見たかった

プリキュア史上最も知名度が低く、売り上げ的にも失敗し
「Yes!プリキュア5」での方針大転換につながった作品。

"隠れた名作"なんて言われているのも、判官びいきというか
要は"通好み"という意味だと思っていました。

しかし視聴してみたら、隠れた名作と言われてるのもわかりました!
っていうか、プリキュア史上でも1,2を争うくらいの傑作ですよ!!

日向咲がソフトボール部所属であることで生まれるドラマが胸アツだったり
絵を描くのが好きな美翔舞と、咲の妹であるみのりや霧生薫との絡みが素晴らしい。



さらに敵であるアクダイカーンたちのキャラが立ち過ぎ(笑)

カレーパンことカレハーン
全身炎なのに海からも出てくるモエルンバ

ドロドロンは、声を担当している岩田光央さんのアドリブが最高すぎて、出てくるたびに笑ってしまいます。高木渉さんによるウラガノスとブンビーに匹敵する強烈なキャラクターです。

ミズ・シタターレは松井菜桜子さんの声が最高すぎで惚れます。

そしてプリキュア史上最高の漢(オトコ)キントレスキー!

どんな時も正々堂々、なんか咲の父さんとも仲良くなってたり・・・小杉十郎太さんの声も相まって、ものすごく魅力的なキャラクターになっています。プリキュアの敵の中で一番好きかもしれません。
彼とプリキュアの闘いをずっと見ていたい。
いや、いっそのこと海原市で平和に暮らしてほしかった(with ミズ・シタターレ)。



キュアブライトとキュアウィンディは、続編を見据えて設定されたフォームだったようですし、2年目への突入が叶わなかったのは少し残念です。まあ「Yes!プリキュア5」からのシリーズの大躍進を考えたら"価値ある犠牲"だったのかもしれませんが。

今のところアマプラで見ることができるので、ぜひ見てもらいたい隠れた名作です
(もう隠れていてほしくない!)





P.S.でも一番好きなキャラは日向みのりだというのは内緒・・・(●´ω`●)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 4
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